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内科 糖尿病・代謝内科 循環器内科/香川県高松市 はたぞえ内科医院

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糖尿病の治療
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内服薬

糖尿病の治療に使用する薬剤は大きく分けて5種類あります。それぞれ血糖値をさげるという結果が得られますが、作用機序(どうやって血糖値を下げるのか)が大きく異なっています。薬の作用機序を知ることはとても大事なことです。糖尿病の薬としてではなく、どうやって血糖を下げる薬という知識があれば、医者任せの治療ではなくなります。

当院ではインスリンを効かせる治療を優先させています。すなわち、できる限りインスリンの働きを邪魔する肥満の問題を解消することを優先させていますので、まず薬ありきの治療は行いませんが、残念ながら食事療法と運動療法のみで治療目標値に到達できる方ばかりではありません。

薬を使用するときにはきちんと作用機序を説明し、何をねらって血糖値を下げようとしているのか理解していただいた上での投薬を心がけています。薬を選ぶ際のポイントは、膵臓に優しい薬膵臓に厳しい薬という考え方とインスリンを効きにくくする肥満を助長する薬とそうでない薬という考え方です。

 


SU(スルホニルウレア剤)および速効型インスリン分泌促進剤(フェニルアラニン誘導体)

薬剤一般名(商品名)
グリメピリド(アマリール)、グリクラジド(グリミクロン)、ナテグリニド(ファスティック)、ミチグリニド(グルファスト)など

これらの薬剤は、薬そのものが血糖値を下げるわけではありません。薬を飲むと、薬が膵臓にインスリンをもっと出すようにムチを入れます。ムチを入れられた膵臓は今まで以上にがんばってインスリンを出すようになります。そして増えたインスリンが血糖値を下げてくれるという仕組みになっています。これらの薬剤を服用して糖尿病が改善したとすれば、それは薬が効いたのではなく、膵臓にむりやりムチを入れて頑張らせた結果、糖尿病が改善したと考えるべきでしょう。頑張ったのは薬ではなく、あくまで膵臓です。決して「この薬、よく効きますねー」などと考えてはいけません。糖尿病の治療薬としては非常に一般的で良く使用される薬剤ですが、当院ではほとんど使用しません。理由は、膵臓に厳しい治療だからです。糖尿病患者の膵臓からは確かにインスリンが十分出ていないことが多いですが、それは膵臓が怠けていてインスリンを出さないのではなくて、できる限りがんばっても足りていないと理解すべきです。ほぼフル回転で仕事をしている膵臓に対して、ムチを入れる治療を行っても、短期的にはコントロールできるかもしれませんが、長期的には、膵臓が疲れてしまうためさらにインスリンを出せない膵臓にしてしまい、結局、糖尿病は悪化します。そのときに、この治療は膵臓に厳しい治療をしているという認識がなければ、何も考えずに薬を増やすという選択をすることになります。ムチが足らなければ、ムチを増やす。そのような治療を行っていても長続きするはずがありません。これらの薬を使用している場合、また使用する場合は、膵臓に厳しい治療をしているという事、安易に増量しないことを肝に銘じた方が良いと考えます。膵臓は無限の力を持っているわけではありません。ましてや糖尿病は一生の病気で短期勝負ではありません。膵臓に出来る限り優しい治療を考えるべきではないでしょうか?
この薬剤を使用すると体重は増えやすくなります。食欲も増す傾向となりますので注意が必要です。
 

BG(ビグアナイド)剤およびチアゾリジン誘導体

薬剤一般名(商品名)
メトホルミン(メトグルコ)、チアゾリジン誘導体(アクトス)など

これらの薬剤は、前述の薬と違い、膵臓に対しては一切関与しません。膵臓にムチを入れて血糖値を下げる薬剤とは全く違う効き方をします。別項に記載していますが、インスリンは膵臓から出るだけではだめで、肝臓や筋肉に効いて初めて血糖値を下げる効果が得られます。しかし肥満がある場合、インスリンが効きにくくなり血糖値が下がらなくなります。こういう場合は、いくら膵臓にムチを入れてインスリンを増やしても効きにくいのですから、血糖はあまり改善せず、膵臓が疲れていくだけです。そこで肥満のある患者さんにはまず肥満の是正を頑張っていただくわけですが、限界があります。がんばって、出来る範囲で体重改善をしたとしても肥満が残存している限りインスリンは十分効いてはいません。ちょっとでも肥満をすると肝臓や筋肉にあるインスリンの鍵穴が壊れてしまっているからです。実はこれらの薬は、壊れた鍵穴を修復してくれる薬です。鍵穴が修復されればインスリンという鍵が効くようになり、血糖値が下がると言うわけです。さてこれらの薬剤は、膵臓に厳しいか、優しいかという観点で見ると、非常に優しい薬剤と言うことになります。肥満によって鍵穴が壊れていると膵臓はインスリンが足らないのかと勘違いし、さらに大量の鍵(インスリン)を作り続けるわけですから、非常に負担のかかった状態と言えます。そこにムチを入れる治療を行うのではなく、これらの鍵穴を修復する薬剤を使えば、インスリンは効くようになり、血糖値は下がります。と同時に膵臓はそれまで無理をして大量の鍵(インスリン)を作り続けてきた状態から解放され、楽が出来るようになります。糖尿病の薬と一口に言っても、これだけ違うものです。ではやせる努力をさせずに、この薬で何とかならないかという素朴な疑問がありますが、それは無理です。糖尿病の薬剤は得てして体重を増加させる悪い部分があります。体重を減らし維持する努力をせずに薬剤を使用した場合、さらに肥満は悪化し、結局インスリンは効かなくなるだけです。出来る限り肥満是正の努力していただいた上で、膵臓に優しい薬を選択するのが大事だと思います。
メトホルミン(メトグルコ)は体重を増加させません。むしろ高用量(1500~2250mg)を使用すると食欲抑制がかかるため体重はむしろ減ることがあります。
チアゾリジン誘導体(アクトス)は副作用に浮腫があるのと、皮下脂肪を増加させますので全体的に体重は増加してしまいます。
チアゾリジン誘導体(アクトス)については一時期、膀胱がんとの関連を指摘されたこともありましたが、現在ではほぼ否定されています。


α-グルコシダーゼ阻害剤

薬剤一般名(商品名)
ボグリボース(ベイスン)、アカルボース(グルコバイ)、ミグリトール(セイブル)など

これらの薬剤の作用機序を理解するには、血糖値の上がる仕組みを理解しなければなりません。食べ物を口に運び、何度か噛み飲み込むと、食べ物は食道から胃の中に落ちます。そうすると胃の壁から胃液が出て、さらに食べ物を溶かしていきます。大事な事はこの段階では血糖値はまだ上がっていないことです。胃の中でさらに溶かされた食べ物は徐々に胃の奥、小腸に運ばれます。このときに小腸の壁から食べ物の中に含まれる糖分が吸収され、この時にようやく血糖値が上がる仕組みになっています。普通に食事をしたら、普通に血糖値が上がってしまいますので、このα-グルコシダーゼ阻害剤という薬を食事をする直前に服用します。この薬剤は胃を素通りして小腸に入り、小腸の壁にバリアを一枚張ってくれると思って下さい。バリアがあるとその後で食べ物が流れ込んできても、バリアが無い状態と比較して糖分がゆっくり吸収されるようになります。血糖値を下げるというよりは血糖値が急に上がりにくくすると言った方が正確です。この薬剤を服用することにより、血糖値は緩やかに上がるようになりますので、膵臓から見るとゆっくりインスリンを出せば良くなりますので楽が出来ることになります。従って、この薬剤も膵臓にとっては優しい薬剤と言うことになります。この薬剤は吸収を遅らせるだけですので、食べても食べても血糖があがらない訳ではありません。あくまでゆっくり上がるというだけです。食べたら食べた分だけ太りますので注意しましょう。
体重については増えもせず、減りもせずという感じです。



インクレチン関連薬(GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬)

別項で説明しています


SGLT-2阻害薬

薬剤一般名(商品名)
イプラグリフロジン(スーグラ)、ダパグリフロジン(フォシーガ)、ルセオグリフロジン(ルセフィ)、トホグリフロジン(デベルザ)、カナグリフロジン(カナグル)、エンパグリフロジン(ジャディアンス)

「糖尿病」という病名の通り、糖尿病になると尿に糖が排泄されるようになります。糖尿病の本質は尿糖ではなく血糖値が高いことですが、血糖値が上がれば上がるほど尿に糖が大量に排泄される様になります。
この仕組を理解しないとこの薬がどこに効くかが理解し難いと思います。
通常は尿の中に糖はでてきません。
糖尿病になると血糖値が上がってきますので、その余った糖を尿に捨てようとするわけですが、全部が全部捨てられるわけではありません。尿ができていく過程でSGLT(ナトリウム・グルコース共役輸送体)というタンパク質があり、そこでせっかく捨てようとした糖が再吸収され血液中に戻されます。
高い血糖値を下げようとして尿に捨てた糖がSGLTによって再度血液中に戻されてしまうため、糖尿病の方にとっては迷惑な話です。
SGLT-2阻害剤は、尿の中に捨てようとした糖がSGLTの作用によって血液の中に糖が戻されるのを止めますので、結果、尿の中に沢山の糖が捨てられるようになり、血糖値が下がることになります。
この薬剤は腎臓に作用する薬ですので、膵臓には優しい薬に分類されます。
また糖尿病の薬としては珍しく体重を減少させる可能性を持っています。概ね2-3kgは減る可能性があります。
副作用として最も注意すべきは脱水です。尿の中に糖を捨てる薬ですので同時に水分も失います。尿量や尿回数が増えますので、水分摂取を十分に行いながら使用する薬です。脱水になりやすい高齢者や脱水に陥って困る患者さん(高度腎不全、心筋梗塞後、脳梗塞後など)にはなるべく使用を控えます。
よく勘違いされる方がおられますが、この薬は上がった血糖値の全てを捨ててくれるわけではありません。食べても食べても捨ててくれるから大丈夫というものでは決してありません。普通より多めに捨ててくれるだけで全てではありませんので食事療法を緩めると血糖値は下がりませんのでご注意ください。
 

インスリン治療

注射器

インスリン注射と聞くと、もう終わりだ、とか、一生打たなければならない、など、マイナスなイメージがつきものです。しかし、そうしたマイナスイメージでインスリン治療のタイミングを逃しているとしたら非常に残念なことです。

インスリン治療とは、糖尿病治療の最終段階で使用するものではありません。インスリン治療の考え方について少し説明を加えます。

糖尿病患者の膵臓は、怠けているわけではなくて、できる限りがんばってインスリンを作り続けています。もし肥満があればインスリンは効きにくいため、それにもましてインスリンをたくさん作り続けようとしてがんばり続けています。がんばり続けた結果、疲れ果て、やがてインスリンを出すことができない膵臓になります。ある程度インスリンが出せる膵臓であれば、やせることとインスリンの効き目を良くする薬剤でのコントロールが可能でしょうが、すでに疲れが見え始めてインスリンを出す力が落ちてしまっている膵臓の場合は、それだけではコントロールは改善しません。やはり、何らかの形でインスリンの量を増やす治療を加えなければなりません。

インスリンの量を増やすには次のうちいずれかの方法になります。膵臓にムチを入れてむりやりインスリンを出させる内服薬(SU剤および速効型インスリン分泌促進剤)を飲むか、インスリンそのものを外から補充する注射というやり方のどちらかです。どちらもインスリンの量を増やして、結果としては血糖を下げる治療ですが、膵臓にとっては全く違う結果をもたらします。膵臓にムチを入れ続け、さらにムチの量をどんどん増やしていけば、いずれはインスリンを出せない膵臓になり、否が応でもインスリン注射に移行します。そして一生インスリン注射、インスリンは最終兵器ということになります。

しかし、初期の段階でインスリンを打てばどうなるでしょう?それまで膵臓はフル回転でインスリンを作り続けていたところに外からインスリンが入ってくるようになります。膵臓としてはかなり楽に仕事ができるようになります。これまで全力疾走で走り続けてきた膵臓に休息をしばらくの期間与えると、疲れがとれ、またインスリンを出せる膵臓になることが期待されます。インスリン注射をしっかり打ち、膵臓に十分な休息を与えて膵臓が元気になってきた頃を見計らってインスリン注射を止め、しばらくするとまた膵臓に疲れが見え始める、そうするとまた短期間インスリンを打つ・・・決して最終兵器としての治療法ではありません。

膵臓として長持ちするのはどちらの治療であるか、よく考える必要があります。ムチが良いのか、それともインスリンそのものを投与する方が良いのか、どちらを選択すべきでしょうか?

インスリン注射による体重増加はよく知られていますが、一番の問題は、食事療法が不十分なままインスリンを導入・増量を行うことです。必要以上に食べて上がった血糖値をむりやりインスリン注射で下げた場合、体重は増加します。インスリン治療に限らず血中のインスリン濃度を上げる薬剤は肥満をきたしやすいため、その使用にあたっては必要最低限の量で、体重を増加させない範囲で使用するのが原則と考えています。

 

インクレチン関連薬

2009年から販売が開始されたこれまでにない作用機序を持つ薬剤で現時点では、DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作働薬があります。

DPP-4阻害薬は飲み薬でGLP-1受容体作働薬(アナログ)は注射剤です。夢の薬とも称されていますが、実際には血糖改善効果は低く、効果が認められるのも一部の患者さんに限られています。まずはインクレチンに関する説明が必要ですが少々難しい話になります。

血糖値を安定させるために膵臓がインスリンを分泌しているのですが、これには二つの経路があります。食べ物を食べると、食べ物の中に含まれる糖分が腸から吸収されて血糖値が上がります。これを膵臓が感知してインスリンを出す経路がひとつ

ふたつめは、食べ物が腸に流れ込んだ時点で、腸の細胞がインクレチン(GLP-1やGIPと呼ばれるホルモン)を分泌、このインクレチンが血糖値が上がる前に膵臓に対して、“これから血糖値が上がるよ”とあらかじめ膵臓に知らせることにより、より多くのインスリンを出せる準備をさせる経路です。

要は血糖値が上がってから膵臓にインスリンを出す準備を始めさせるのではなく、血糖値が上がる前に、先回りして膵臓にある程度インスリンを出させる準備をさせておくためのホルモンがインクレチンと呼ばれるものの働きです。当然、膵臓の準備が整っている分、より多くのインスリンが出ることになります。普段はこのふたつの経路を通じて膵臓はインスリンを出したり引っ込めたりして血糖をコントロールしていることになります。

さてお薬の話になります
 

1) DPP-4阻害薬

インクレチンは腸の細胞から分泌された後、血中のDPP4という酵素によって速やかに分解されて、効果がすぐに無くなってしまいます。 DPP-4阻害薬はインクレチンを分解する酵素を邪魔する薬なので、インクレチンが分解されにくくなり、効果が長続きするためインスリンが出やすくなり血糖値が下がります。飲み薬です。
基本的には毎日1-2回内服しますが、週に1回内服の製剤もあります。

薬剤一般名(商品名)
シタグリプチン(グラクティブ)、アログリプチン(ネシーナ)、ビルダグリプチン(エクア)、リナグリプチン(トラゼンタ)、テネリグリプチン(テネリア)、アナグリプチン(スイニー)、サキサグリプチン(オングリザ)、トレラグリプチン(ザファテック)、オマリグリプチン(マリゼブ)
 

2) GLP-1受容体作働薬(GLP-1アナログ)

インクレチンの一種であるGLP-1の分子構造を一部変更して分解されにくくした物質でGLP-1アナログ(類似化合物)と呼ばれるものです。注射剤です。
基本的には毎日1-2回注射しますが、週に1回注射すれば良い製剤もあります。

薬剤一般名(商品名)
リラグルチド(ビクトーザ)、エキセナチド(バイエッタ、ビデュリオン)、リキシセナチド(リキスミア)、デュラグルチド(トルリシティ)

以上の薬が現時点で供給されています

 

インクレチン関連薬の特徴は以下の様な事が言われています。私見とともに紹介します。

A) 体重が増えにくい

内服薬に関しては体重を減らすことはまず期待できません。注射剤に関しては時々体重が減ることはありますがやはりあまり期待できません。総じて他の糖尿病薬が体重を増やす傾向にあるため、強調される向きがありますが、あまり期待はできません。

B) 低血糖になりにくい(SU剤など膵臓にムチをいれる薬剤を使用していない場合)

インクレチン関連薬は、血糖値が高いときに良く効き、血糖値が低いときには効かない特徴があります。SU剤などの膵臓にムチを入れる薬剤を使用していない場合は低血糖の危険性はかなり低いものと理解されています。

C) 膵臓の保護作用

真偽のほどは微妙ですが、結果的には膵臓からインスリンを出させる薬剤ですのでSU剤と同様に膵負担はかかると思われますが、これまでの実験データなどによると膵臓への負担は少ないと考えられています。

また膵臓のβ細胞(インスリンを出す細胞)の数を増やす効果があるのではないかと言われています。しかしこれらの結果はほとんど動物実験レベルであり、ヒトでも同様な効果が得られるのかどうかは検証が必要です。発売されて間もない新薬ですので期待しすぎるのも問題です。

個人的にはGLP-1アナログならまだしもDPP4阻害薬にここまでの効果が期待できるとは思えません。

D) グルカゴン分泌抑制

体内にはインスリンと逆の働きを持つグルカゴンというホルモンがあり、血糖値を上げる作用を持っています。これを出にくくする作用もインクレチン関連薬は持っており、血糖値を下げるのに一役買っています。個人的にはこの作用を一番買っていますが、効果のほどは微妙です。

以上の様な特徴を持った薬剤です。
薬価は高く、血糖値はあまり下がりません。良く下がってHbA1c 1%程度でしょうか。

膵臓に優しいくすりか膵臓に厳しいくすりかという点ではまだ微妙です。個人的にはどちらかというと厳しい治療に分類していますが、SU剤ほど厳しいくすりでは無いという位置づけです。

個人的にはSU剤は使いたくないが、インスリンを打たせるまではないというHbA1c 6%前半程度の方に使用していますが、正直効果は今ひとつのことが多いのも事実です。

糖尿病の新薬が長らく発売されなかったので、各方面で期待の新薬、夢の薬として報道されていますが、決してその類のものではありません。 糖尿病治療の基本は今も昔も食事療法と運動療法です。